Bリーグを徒然なるままに…

Bリーグのあれこれを書きます

~弱者が生み出す正攻法~ 戦術〇〇① 富山編(前編)

開幕して5年経った今、Bリーグの上位陣はある程度固定されています。

今季を制した千葉

初代王者の宇都宮

今年の天皇杯を制した川崎

今季は振るわなかったが連覇をしていたA東京

西の雄の地位を確立しつつある琉球

これらのチームは人気もさることながら、潤沢な資金力を持っています。(若干宇都宮は違う気がしますが)

金がなきゃロシターもサイズも来ませんしね。

 

その一方で資金力に欠けいい選手を集めることができないチームも確かに存在しています。

そんなチームはどうするのでしょうか。

ただ指を咥えて強豪チームに蹂躙されるのでしょうか。

彼らに対抗する術、それは一人のスーパープレイヤーへ依存し、彼を周囲で盛り立てるというものです

そんな戦術が成り立つ選手は限られますし、強豪チームにはそんな選手は不要だったりします。

そんなチームをこれからいくつか見てみようと思います。

 

浜口炎と戦術マブンガ

今季そのような資金力の乏しいチームで最も結果を残したのは富山グラウジーズでしょう。

Bリーグ1,2年目には降格圏を彷徨っていたチームは今季リーグNO.1の平均得点(89.2)を武器にリーグを席捲し、ついにはCSにまでたどり着きました。

今季から就任した浜口炎HCが繰り出した戦術は、昨季まで指揮していた京都でも用いられていたものでした。

 

ジュリアン・マブンガ選手

20-21シーズンスタッツ

53試合(スタメン52試合)

平均34分出場(リーグ1位)

得点…20.7点(リーグ3位)

リバウンド…7.3本

アシスト…7.4本(リーグ1位)

ターンオーバー…3.8本(リーグ1位)

3P成功率…36.8%(キャリアハイ)

FG成功率…46.5%

 

浜口HCとともに京都に移籍してきたマブンガ選手にゲームメイクと得点の全てを託す「戦術マブンガ」。

マブンガ選手がトップでボールを持ち、3Pを狙いつつインサイド、アウトサイドにパスを散らす。

その一方で日本人ハンドラーのロールマンをこなしてインサイドでパスをもらい得点を狙う。

要するにハーフコートのすべてをマブンガに任せる戦術です。

これによって富山は躍進を果たしました。

ただ、この戦術で京都が勝てていたのかというと、実はそんなことはありません

 

京都ハンナリーズ

19-20シーズン

20勝21敗

18-19シーズン

31勝29敗

決して悪い成績ではありませんが今年の富山(39勝21敗)には遠く及びません。

しかも富山はレベルが高いとされる東地区での成績です。

なぜ、突然戦術マブンガは機能したのか。

1試合当たりのポゼッション数

18-19シーズン京都

75.7(リーグ11位)

19-20シーズン京都

76.6(リーグ6位)

2突き抜けきらなかった

79.2(リーグ2位)

 ペースが過去二年と変わりました。

このペースの上にいるのはフルコート戦術を用いる渋谷のみ。

鈍足のスミス選手がいる今季の場合、普通に考えてペースは落ちるはずでしたが、そうはなりませんでした。

ここの部分に突き抜けきらなかった戦術マブンガの進化があると考えます。

 

ペースアップの原因

宇都直輝選手

20-21シーズンスタッツ

60試合(スタメン54試合)

平均23分出場

得点…10.4点

リバウンド…2.3本(富山に移籍してから最低)

アシスト…3.8本(富山に移籍してから最低)

ターンオーバー…2.0本

3P成功率…25.0%(試投数は20本)

FG成功率…52.0%(キャリアハイ)

Bリーグ開幕してから富山一筋でこのチームの象徴的存在でもある宇都選手はマブンガ選手の影響を受けたように見えます。1試合当たりのFG試投数もBリーグ発足してから初めて8本を切りました。

ただ、一方でFG成功率は自身のキャリアで初めて50%を超えました。

スミス選手がインサイドに陣取ることで、ハーフコートで宇都選手にスペースはこれまでのように与えられませんでしたが、宇都選手がこれまで以上に積極的にファーストブレイク、速攻に走りました。

ペースアップという意味でも非常に効果がありましたし、マブンガ選手とスミス選手は速攻に参加するわけではないので彼らが絡まない形の得点方法があることは戦術の進化であったと思います。

また、ハーフコートバスケットになってもマブンガ選手起点のみではなく、岡田選手からオフェンスを展開できることも大きかったのではないでしょうか。(岡田選手についてはこちらの記事をどうぞ)

baskba28.hatenablog.com

マブンガ選手起点で彼に得点やインサイドへのアシスト、キックアウトからのアシストをさせる戦術において、彼に合ったプレイヤーであった前田選手を始めとするシューター陣はもちろんのこと、彼とのフィットが懐疑的であった宇都選手と岡田選手が共存を実現させたことがチームの躍進につながりました。

 

富山の明日はどうなる

と、まあこんな風に躍進を遂げた富山ですが、

今季のチームから

前田選手、岡田選手、松脇選手

の主力として活躍した若手トリオが抜けることになりました。

あと大麻野郎

貧乏って辛い。

ということで次回、富山の来季を占います。

大丈夫なのでしょうか、心配です。