~弱者が生み出す正攻法~ 戦術〇〇③ 新潟編(前編)
前回2回分を使って富山の躍進を紐解いてみました。
彼らが用いたのはアウトサイドの外国籍プレイヤーに多くのことを任せる戦術マブンガ。
このような戦術で結果を最大級に出したチームが今回紹介する18-19シーズンの新潟です。
ずばり戦術ガードナー。その中身には資金に乏しいチームが勝ちあがる方法論に溢れていました。
新潟ファンの現実逃避になればなと思います。
ガードナーの当時と今
18-19シーズン
45勝15敗(中地区優勝)
80.2得点 73.3失点
素晴らしい成績でした。
中身を見てみるとオフェンスレーティングがリーグ4位(107.5)、ディフェンスレーティングがリーグ6位(98.2)とどちらも素晴らしい数字を残しました。
その中でも気になるのが、
ペース 74.2(18位)
これです。この年はペースの遅いチームが上位に入るシーズンだったのですが(おそらくレギュレーションの関係上)、新潟も例に漏れずペースを落としていました。
その躍進の中心になっていたのが
ダバンテ・ガードナー
18-19シーズンスタッツ()は今季
60試合(54試合)
平均36分出場(30分)
得点…27.6点(19.9)
リバウンド…11.0本(7.6)
アシスト…3.8本(5.0)
ターンオーバー…2.3本(1.9)
3P成功率…22.8%(30.7)
FG成功率…57.6%(55.7)
文句のつけようがない活躍なのですが、今季と比較するといくつかのことがわかります。
・シュート力の向上
3Pの%は大きく上がりました。決して武器にできる数字ではありませんがそれでも8%の向上は立派です。
・プレーメイク能力の向上
アシストが増えました。インサイドからキックアウトパスを出すことも増加傾向にあります。
以上二点から言えるのは、ガードナー自身はプレーの幅を広げてステップアップできているということです。
ただ、このシーズンの新潟ほどにはここ2年の三河は勝てていません。
メンバー的にはここ2年の三河の方が勝てそうなのにもかかわらず、です。
ということで18-19の新潟を少し深掘りしてみましょう。
ガードナーの特性
まず、当時のガードナーの得点パターンを見てみましょう。
これが強い(当たり前)。ただ、こればかりだと疲れてしまいます。
・ボール運びからそのままアタックする
これも多かったです。ただ、同じくスタミナ面での疲労がたまりそうです。
・ピック&ロールのロールマン
このプレーでミスマッチを作って得点という場面も多かったです。
負担を減らすという意味でも有効活用できていました。
これに関しては1試合当たりのFT試投数が今季よりもおよそ2本多くなっています。
ファールドローする上手さもありましたが、させる状況づくりもうまかった印象です。
ちなみにファールドロー数は今季のおよそ2倍です。
これらの特性を最大限に生かす必要性があります。
少なくとも外でボールを持ちたがるマブンガとは異なります。
ガードナーに必要なもの
上記のことからガードナーを最大限に生かすチームの形を考えてみます。
・インサイドを空けることのできるシューター
4アウト気味でスペースを作りたいので、シューターでなくてもよいのですが、やはり3Pはあった方が良いでしょう。
スペースを作るのがオフェンス面でのメインの仕事になるので、実は動き回る選手とは相性がよくありません。(金丸との関係性は難しかった)
・ピック&ロールができる優秀なハンドラー
五十嵐選手のことなのですが、彼でなくてもピック&ロールをしながらパスを出せることと、プルアップで3Pシュートを打てることが条件になります。理由はガードナーにミスマッチをついてもらうこととやはりスペーシングです。
富樫選手とか合う気がしますしB2に移籍した笹山選手なんかも実は相性が良さそうだなと思っていました。
・スペアガードナー
これはハミルトン選手ですね。
ガードナーの負担を減らす意味でも似た役割をこなせる選手というのは間違いなく必要になると考えます。
これが噛み合うとガードナー選手の勝利への影響力は増していくと考えています。
三河はここを揃えていない。(そういう戦術をそもそも志向していない気もしますが)
大して18-19シーズンの新潟はここをバッチリ揃えていました。
次回は新潟の18-19シーズンを詳しく見ていこうと思います。続く