~弱者が生み出す正攻法~ 戦術〇〇④ 新潟編(中編)
単純に忙しかったこと、島根について書こうと思ったが気付けば別のテーマになって頓挫したことなどが重なり更新が滞りました。
すみません。
新潟の現実逃避編その②です。
とはいえこのテーマ誰も見てないんじゃないかと思いながら進めています。
新潟の成功を三河と比較して考える
新潟で中地区優勝という一定の成果を手にしたガードナー選手ですが、三河に移籍後は少なくともチームでの成功を得てはいません。
特に昨季はガードナーの周りに金丸川村ウィティングトンといった40%越えの優秀な3Pシューターたちに柏木コリングワースに長野熊谷といった司令塔たちを揃えました。
インサイドの相方となったシェーファー選手も滋賀時代から成長を見せ、インサイドで戦う能力の上昇とともに3Pもノーマークなら打ち抜くことができるようになりました。
なのにチームは34勝21敗の西地区3位にとどまりました。
もちろん川村選手の失速やウィティングトン選手の離脱などの要素はあったにせよ、それでもなお勝ちきれなかったことは事実としてのしかかります。
しかし18-19シーズンの新潟は異なりました。
では何が異なっているのか、前回の記事にもあったスタッツを比べてみましょう。
ダバンテ・ガードナー
18-19シーズンスタッツ(かっこは昨季)
60試合(54試合)
平均36分出場(30分)
得点…27.6点(19.9)
リバウンド…11.0本(7.6)
アシスト…3.8本(5.0)
ターンオーバー…2.3本(1.9)
3P成功率…22.8%(30.7)
FG成功率…57.6%(55.7)
プレーの幅を広げたと前回は書きましたが今回の趣旨は違います。実はこれが大きい。
実はこの年新潟はガードナー選手に役割を基本的には与えませんでした。
彼に与えられた役割はたったの一つです。
・ボールをもったらリングに向かって得点を取れ
これだけです。ホントにこれだけ。知性のかけらも求めませんでした。
・3Pの試投数が今季と比較して少ないこと
・FT試投数は今季と比較して多いこと
これらのことからもスタッツ的にもインサイドでよりファイトしていたことがわかります。
ただこれが正解だったのも紛れもない事実です。
何故この形で成功したのか、見てみましょう。
ガードナーに知性が必要なかった理由①
五十嵐圭選手
18-19シーズンスタッツ
59試合(スタメン59試合)
平均31分出場
得点…11.5点
リバウンド…3.0本
アシスト…5.2本
ターンオーバー…1.8本
3P成功率…34.2%
FG成功率…41.7%
柏木真介選手
18-19シーズンスタッツ
55試合(スタメン55試合)
平均27.5分出場
得点…7.8点
リバウンド…3.0本
アシスト…3.1本
ターンオーバー…1.6本
3P成功率…34.7%
FG成功率…38.0%
森井健太選手
18-19シーズンスタッツ
59試合(スタメン4試合)
平均16分出場
得点…2.8点
リバウンド…1.6本
アシスト…2.7本
ターンオーバー…1.0本
3P成功率…29.4%
FG成功率…40.8%
新潟はハンドラーポジションをこの3人で回しました。
平均プレータイムを単純に合計すると74.5分です。
つまりほぼすべての時間を2ガードで戦っていたことになります。
アシストも3人で約11本を記録していますし、ゲームメイクやプレーメイクにガードナー選手の労力を使う必要はありませんでした。
森井選手以外の2人はFG試投数のうち半分以上が3Pシュートとなっており、後述するガードナーのパスアウト先としても機能していたことも記しておきます。(五十嵐選手は7割超が3Pです、なんだこのおっさん若い)
ガードナーに知性が必要なかった理由②
池田雄一選手
18-19シーズンスタッツ
60試合(スタメン0試合)
平均19分出場
得点…4.7点
リバウンド…1.9本
アシスト…0.6本
ターンオーバー…0.3本
3P成功率…40.2%
FG成功率…39.7%
上江田勇樹選手
18-19シーズンスタッツ
54試合(スタメン46試合)
平均20分出場
得点…4.4点
リバウンド…1.5本
アシスト…0.9本
ターンオーバー…0.6本
3P成功率…29.4%
FG成功率…36.7%
渡辺竜之佑選手
18-19シーズンスタッツ
48試合(スタメン17試合)
平均12分出場
得点…2.1点
リバウンド…3.2本
アシスト…0.5本
ターンオーバー…0.4本
3P成功率…10.0%
FG成功率…45.2%
彼らのスタッツは池田選手を除けば決していいものではありません。
しかしその役割は実は大きなものでした。
彼らはオフェンス時に基本的に同じ動きしかしなかったというのが大きな特徴です。
池田選手はコーナーなどで3P待機
渡辺選手はコーナーからのカッティング
上江田選手はそれらのどちらもをこなしていましたが、言い換えればどちらかしか役割がありませんでした。
これって本来大問題です。
そりゃあマルチに様々な役割がこなせる選手は重宝されますし、シューターであれば動き回ってフリーになる能力やハンドラーとしてドライブする能力もあった方が良い。
ただ、ガードナーを生かす意味ではこれがいい方に作用していました。
彼らは同じ動きをするためにガードナーのパスアウト先として有効だったということです。
前述した三人もガードナーがボールを持つと動き回ることはしませんでした。
少し動いてパスアウト先を作るだけ。
結果としてそれがガードナーにインサイドの広大なスペースを与えることになりました。
つまりこの年の新潟は
ガードナーの得点力を最大限に生かすために極端な戦術に舵を切り倒した
というわけなんですね。
実はこれは今村選手が出られなかった件が大きいのも事実です。彼は様々な役割をこなせますし、新潟でも実際にさせていたでしょうからガードナー選手がここまでいかされたのかはわかりません。
三河は戦術ガードナーに振り切れるのか
そして現状の三河ですが、金丸、川村、熊谷、高橋などの選手が抜け、来季は戦力ダウンが予想されます。
ただしガードナー選手と彼とともに勝った経験を持つ柏木選手は残りました。
ここまで極端な戦術をすることはないでしょうが、ガードナーの得点力に振り切る戦術は勝つためには取る必要があります。
ただまあ鈴木HCってインサイドの選手にプレーメイクさせるの好きだろうしガードナーに知性をこれまでと同じように求めるような気もしています。
点取り屋のガードナーはチームを勝たせることができる、これは証明済みです。
では、オールラウンダーのガードナーはチームを勝たせることができるのか、これが試されるシーズンになりそうです。
そして新潟はどうなるのか。わかりませんが現状を次回で分析して見ます。